ザ!霊障

ザ!霊障 第一部 14

 ←ザ!霊障 第一部 13 →ザ!霊障 第一部 15
4月22日
The reisho ~霊障~

『直接それ自体でダメージを受けてる訳じゃないんだけど、思い当たるというかはっきり苦しい、辛いと思うものが中学校くらいからずっとある

ほんとに色々な方面から辛くて表すのすら嫌なんだけど、芸術関係、絵だけじゃなくてなんでもいいんだけどそっちを突き詰めて生きたかったんだよね

昔から、10代の頃から伝統工芸の道に進んだ人の特集とかテレビでやってると苦しくて苦しくて見られなかった

何かを見て感動して自分もこういうものを作りたいとか描きたいとか思った記憶はないんだよね、覚えてないだけかもしれないけど。

今作りたいと思うものには方向性に理由があるけど、何かをものすごく作りたい根本的な理由とか、思いはじめた時期とかはまったく分からない』

 こんなメールが4月17日に、仕事中のはずの柚矢から届いていた。
 まずは、これが始まりだった。いや、つまり、この会話から始まったのだ。

2017/4/19(水)19:47

 首都圏在住の友人へ、

 こんばんは。
 実はちょっとお願いがありまして。
 以前、我が家で怪現象が起こったとき、お知りあいに霊能者さんがいらっしゃるようなことをお話ししていませんでしたっけ?
 ここしばらく柚矢といろいろ話してるんですが、それが少しずつ進み、いろんなことを試させた結果(原因を探るために仕事を始めた辺りまで遡ってみるとか)、仕事に関して、なにか前向きなことをしようとすると、邪魔してくる「もの」がある、ということを聞き出しました。
 それが、柚矢は初め、他にやりたいことがあるから、その思いが邪魔しているのかと考えたけど、違う気がする、とのこと。
 それから、喘息の症状がいきなり表れ、胸の辺りがいつも苦しくなったのも、同じような時期からだと分かりました。
(※これに関しては、酷くなったのが最近ということで、症状自体が出始めたのは今の課に移って1~2年目くらいからだったらしい)
 それから、あの怪現象。
 朱鷺はもしかして、一年目に柚矢を苛めてた同僚女性の生霊なんじゃないかとすら思えるんだけど、そんなことってあるかな?
 彼女は、朱鷺が当時の上司に現状を話して、更に本人たちに話を聞いて改善策を取ってくれるようにお願いしたことを根に持っている感があるんだよね。
 上司に呼ばれて注意されたら、病ませられる方が悪いんじゃん、と柚矢を目の前にして言い放っていたそうだから。
 なんとなく、精神科ではなく、オカルト的な、憑き物落としのような療法が必要な気がして。
 もしも機会があったら、ちょっとご意見をいただいてもらうことは可能でしょうか?

 同じ内容のメールを東京在住の家族にも送った。二人とも居住地は首都圏内なので、近くにはいないヒトたちである。それでも、朱鷺はこの時点では、そんなにマジメに「それ」を考えていた訳ではなかった。

東京の家族よりの返信。
2017/04/19(水)20:57
「確かに、小屋から何かをひきずる音が聞こえたって言ってたよね。
 ちょっと電話番号が分からないんだけど、小田原の友達が霊的な相談している人が以前にいて、沿岸北部の人なので調べて行ってみるのもいいかも。
 その人は、実際にそこに行って相談したみたいです。
女性の人です。」

 友人よりの返信。
2017/04/20(木)7:39
「おはようございます。
 何だか普通じゃない何かが感じられるのですね。そういえば、柚矢ちゃん山に行くと気分が悪くなる様になったのっていくつぐらいからだっけ? 体質的に憑かれやすい人っているらしいから。
 因みに友達の彼女は霊能者というわけではなく、ただ小さいときから霊が見えてて、霊に話しかけられたり…私が勝手にイメージするところ、夏目友人帳の夏目みたいな感じかな。一応今の症状とか話ししてみて、それが何なのか聞いてみることは出来るけど、平日は私が時間的に厳しいので週末くらいに彼女が捕まれば聞いてみますね」

 二人ともすぐに反応して連絡をくれたことが、ほんとうに有り難いな、嬉しいな、とそのときは単純に喜んでいた。そして、そんなメールをしたすぐ後なのに、何故か朱鷺は東京の家族に対して、こんなメールも送っている。
 
2017/04/22 (土) 9:04
 最近、いろいろ付き合ってくれてありがとう。
 今まで、朱鷺は柚矢が仕事を続ける前提で模索し手を尽くしてきましたが、それは本人もそう望んでいるからだと思ってたからです。
 ここ数日は夜寝る前にかなりいろいろな方面の話をして、では具体的にどうすればいいのか、何が出来るのかを、社会人1年目はもちろんのこと、幼少期まで遡って一緒に考えてみました。それでも、何も思い当たることがないというので、昨年末の怪現象まで引き合いに出して、もしかして何か邪悪なる「意思」が関与しているのでは? という突飛な結論にまで至りました。お陰で、誰か「観て」くれる人はいないかと相談してしまったのですが。
 ご紹介いただいた本妙寺さんには、今までの経過や怪現象についてもけっこう詳しく綴り、その上で「観て」いただけないかとメールしたのですが、返信は事務的なもので、
『メール読ませていただきました。
今週末のご祈祷希望とのことでしたが、既に予約が入っており難しいです。
土日を希望される方が多いため、土日だと1ヶ月後とかになってしまいます。
下記電話にて予約いただきますようお願いします。』
 ということで、別に祈祷をお願いした訳ではないのですが、原因を探ってくれないかということは完全にすっ飛ばされておりました。それでも、柚矢が昨日、5月の連休中で予約を取ったみたいです。
 ただ、一昨日の夜の話で気になることがあって、何をして良いのかまったく分からないなら、とにかく『言霊』の力を借りて、「ありがとう」をひたすら書いてみたら? と提案してみた。苦しくなったときにとりあえず、と。
 しかし、その反応が「たぶん、無理だ。今、イヤだ、もしそれで良くなったりしたら仕事続けなきゃなくなる、と思ったもん」と言われました。そのときは、仕事を続けさせたくない何らかの意思の力が邪魔しているのかと思いましたが、冷静に考えてみると、単にやつの心の問題だと夜寝ている間に思いました。
 それで、昨日は腹が立って心なしか柚矢に対して冷たかった。それを敏感に感じ取ったらしく、昨日は朝から泣いて仕事に行ったし、昨日は私は18時までバイトで、帰宅した時には頸部の凝りで頭痛がして、更に風邪もひいていたんで、鍼してさっさと寝ることにしていた。そしたら、「今日はすぐ寝るの?」と聞いてくるから、「寝る」と言って一人で鍼をしていたんだ。
 そしたら、また泣きだして、祖父母は心配するし、うっとうしいことこの上ない。
 鍼しながら話を聞いたんだけど、まず言ったのは「つらい状況をなんとかしたいと思ってないんじゃないの? 前にも聞いたけど、この現状をどう捉えているの?」「いったい、何が望みなの?」
 最初、分からないと言ってたけど、ぽつぽつ話しだしたのは、絵とか漫画とかを本格的にやりたいということ。それには仕事しながらでは時間が足りない。で、結局、仕事を辞めたいと言う。「生活費はどうすんの?」 貯金で。で、それほど本気じゃなかったんだな、って分かったら再就職を考える(もちろん別の会社を探すってこと)。
 呆れたけど、「じゃ、そうすれば?」と言った。「職場の上司にそう言って」と。それから、「皆が心配してるから、ちゃんと話してね」と。
 正直、もうイヤになった。何が何でも絵をやりたいなら、最初からそう言えば良いのだ。生活が苦しくなっても友達を金銭的に助けてあげることがもう出来なくなっても、それでも、やりたいことをやってみたい、というのなら、それで良いのだ。それをまったく言わずにただ「仕事がつらい。イヤだ」では、それなら、どうすれば楽に仕事が出来るようになるんだろう? と考えるではないか。
 もう、付き合っていられない。お金がまったくなくなったとき、どんなに苦しい思いをするのか朱鷺はイヤというほど、それこそ何年も味わってきたから、そして、柚矢は画材やDVDや、とにかくけっこうな金額のものをほいほい買うので、そういうことが出来なくなることがかなりしんどいであろうことが分かっていたから、仕事は続けた方が良いんじゃない? と思っていたが、それで結局、泣いたり物に八つ当たりしたり、自傷したりして周囲に迷惑を掛け続けるだけなら、もう好きなようにするが良いと思う。
 今までいろいろ迷惑や心配掛けたけど、朱鷺はもう手を離す。ほんとうに、イヤになったのだ。
 
2017/04/22(土)19:46
 首都圏在住の友人より電話。そう、メールじゃなくて電話があった。そして、固定電話で掛け直すというので、こっちから掛けるよ、と電話で話した。

 その内容は。
 今、その霊能者の友人と電話で話した。その友人の旦那さんがもっと強い力の持ち主で、その人とも話した。又聞きで、自分が分かっていることだけを説明したが、「霊」は時間・空間を超えて繋がっているから、分かると言われ。
 まず、3人いる、と言われた。今家の中にいる、と。
「えっ、ほんとにいるの?」と朱鷺。正直、その時点ではメールの通り、もう柚矢の内面の問題だと考えていたから。
 とにかく、朱鷺に今すぐやって欲しいのは霊能者を探すこと。一刻も早く、と言われた。
その「霊」3人というのは。
 一人はやはり、その女性の負の念が強くて、その人かも知れない。力のある人なら、それは本人に戻せるかも知れない、とのこと。
 二人目は、柚矢が一時期引っ越そうとした家に住んでいた男性。うわ、やっぱり…と思った。その家は彼にとってオアシス、聖域だった。そこに入り込んできたやつを許せない。荷物を運び込んでしまったことがダメだった。だから、その荷物に憑いてきて、家の中で動かしていたんじゃないかと。そして、その人、男の人らしいけど、幸せじゃなかったんでしょ? と。そうなのだ、彼は精神病院に放り込まれて悲惨な時間を過ごし、結局幸せになれずに寂しい最期だった。だから、聖域を侵した‘やつ’が前向きに職場に復帰するのをどうしても許せない。それを邪魔している。その家にずっと住まなくて良かったんだよ、家主さんが追い出してくれたのも、もしかしてヤバいと感じたからかも知れない。そのままあの家に住んでいたら、とり殺されていた、とまで。
 最後は、動物霊らしいとのこと。前に飼っていた猫? と聞いてみたら、いや、猫じゃない。狐とか、そういうやつだと言われたそうだ。
 狐は確かに家の周囲にたくさんいて、一時期、猫が襲われないかすごく気にしてたことがあった。しかし、野生の狐はたぶん関係ないから外す。
 山で気分が悪くなるのは、山はパワースポットだから、そのパワーに負けてしまうからではないかと。つまり、柚矢は体質的にそういうエネルギーを受け易く、弱いんじゃないかと。
 このまま放っておくと祖父母にも影響が出るから、と。そして、時雨が今、家を守っているから、彼が事故や怪我で家を空けることがないようにして欲しい、とのこと。
 それらを聞いて、はっとしたのは。やはり、朱鷺が本能的に、感覚的に感じたことって合ってるんだな、と。
 実はあの家、新しくて綺麗だったが、家の中に一歩踏み入れたとき、なんだか分からないがイヤな感じがしたのだ。
それに、負の念を抱く女。
 探して欲しい霊能者は、朱鷺の家から見て北、女性で50~60代の女性。必ず見つかる筈だから、探して、と言われた。
 すぐに浮かんだのは、東京の家族が紹介してくれようとしている沿岸北部の女性だ。ただ、この方の住所と姓は分かっても、電話番号と下のお名前が分からず、連絡が出来ずにいて、グーグルマップで検索してみた。すると、あろうことかそこは恐ろしいくらいの海辺で、もはやそこに家は建っていないように見えた。つまり、2011年の震災だ。
 紹介してくれたその友人が現在出張中で、家のアドレス帳にしか連絡先が記載されていなくてすぐに分からないから、ということで、そのご友人が戻ってきたら、電話番号は聞いてくれると言う。
 一刻も早くなどと言われるとドキドキするが、待つしかない。
 しかし、あの時点で二人に連絡を取ったのは、そうすべきギリギリの、ほんとうにタイムリミットのようなものだったのだろう。タイミングを逃さずに良かった。こんな風に繋がるとは思ってもみなかったが、朱鷺に出来る最大にして唯一のことだったのだと思う。

 ということで、今、まだ経過中なのだ。
 今はまだ、その霊能者さん(除霊が出来る人かどうかは分からない。ただ、その『原因』が見える人なんだとか。それでも、そういう人は、除霊出来る誰かをご存知じゃないかと思えて、とりあえず、その人に賭けてみるしかない)に連絡が取れる日を待っている。


関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 六趣輪廻
もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 夜船閑話
もくじ  3kaku_s_L.png 刹那
もくじ  3kaku_s_L.png 蓮華国
もくじ  3kaku_s_L.png タナトスの翼
もくじ  3kaku_s_L.png さくら
もくじ  3kaku_s_L.png 聖火
もくじ  3kaku_s_L.png アニマ
もくじ  3kaku_s_L.png 聖~セイント~
もくじ  3kaku_s_L.png 狭間
もくじ  3kaku_s_L.png 完全数
もくじ  3kaku_s_L.png 天女のように
もくじ  3kaku_s_L.png 藍色哀歌
もくじ  3kaku_s_L.png こくはく
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png ザ!霊障
  • 【ザ!霊障 第一部 13】へ
  • 【ザ!霊障 第一部 15】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【ザ!霊障 第一部 13】へ
  • 【ザ!霊障 第一部 15】へ