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ザ!霊障

ザ!霊障 第一部 13

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平成26年3月12日
 境界線は跨いではいけない。
 と、思う。
 朱鷺の尊敬する鍼灸の先生もおっしゃっていた。病は、境界線のときが一番治しやすいのだ、と。忙しくて真面目な日本人は、病の状態が抜き差しならなくなって、ほぼ手遅れになってから病院を受診する。そして、余命宣告を受けるのだ。
 病は、人生に向き合うために与えられるものだ。
 無視したらダメさ。いや、ほんとにね。  
 「病」という形を取ってしまう前に、実は、柚矢も努力をした。というか、逃げ道を探った。課内に3人いる室長の一人に、さりげなく相談を持ちかけてみたりもした。匂いが気になる、と一番言われていた頃だ。更に、職員監財室(人事などを決める部署?)の女性に、話を聞いてもらったりもした。
 室長は、モメゴトに関わりたくなかったのか、あまり反応してくれなかったそうだ。監財室の女性は話を聞いて、理解を示して助言もくれたそうだが、だからと言って、元凶の同僚女性の態度が変わる訳でももちろん、ない。そうこうしている内に、イヤな相手の言葉を聞くことが本当に出来なくなってしまったんだろう。口を開けば嫌味しか言わない相手の声なんて、聞きたくないし、身体が拒絶してしまうのだ。それは意思の力でどうにかなるもんじゃない。
 昨日は仕事を休み、心療内科に行ってみたが、あの通り、何の役にも立たんかった。特にメンタルな症状は、先生との相性があるだろうし、何件かまわることも考えた。しかし、このまま当たりが悪かったら、どんどん傷つくだけだ。実際、柚矢は、一件目の医者の言葉に深く傷ついていた。朱鷺もそのとき、「医者」に失望した。だから、言った。
「別の病院を何件かまわってみるのも選択肢のひとつだけど。まずは自分の中を整理してみた方良いよ。問題点を書き出して、その解決策を自分で探してみて」と。
「明日は(仕事に)行った方が良いのかなぁ」と言うので、行けるなら行けば良いし、別に行かなくても良いよ。
 しかし、ただ家にいてもどうしようもない。本日は、朱鷺の一家がすべて診てもらっている主治医とでもいうべきかかりつけの内科医に行ってみろ、と言い置いた。その内科医は、朱鷺がかつて三葉虫だった頃からの付き合いだ。その頃は、今の先生のお父さんが現役のお医者さんだった。そして、恐竜からアンモナイトまで分け隔てなく診てくれるとても良いお医者さんだったのだ。風邪をひいたとか、喉に骨が刺さったとか、何度診療に訪れたか!
 で、現在の息子さんも、なかなかトボけた性格の良いお医者さんである。彼は柚矢の話を聞いて、まだそれほど症状は酷くないようだけど、と言いつつ相応の病院へ紹介状を書いて、診療予約を取ってくださった。
 くっそ、初めっからそこへ行けば良かったんだよな! そして、こういう症状は心療内科で良い筈なんだけどね、と先日の医者の対応に疑問を示したそうだ。
 そうなんだぁ、と朱鷺はよく知らんのだが、やはりあの医者がおかしかったのか、と納得。
 診療予約が4月2日なので、それまでは、だいたいの心の整理がついて、行けそうになったら仕事にいけ、と言っておいた。
 家の中の整理、特に部屋の整理は、自らの心の整理とイコールだと思う。だから、部屋を掃除しろ、とも。とにかく、そうやって本気で精神科と縁が切れなくなる前に、自らを見つめて、本当の病の根源に気付いて欲しいと祈る。

平成26年3月13日
 柚矢は、昨日の病欠連絡の電話で、今週いっぱいは休みます、と言ったそうなんで、まぁ、自分自身の内側の整理をした方が良いんでは? と思った。で、本人談として。やはり自分が悪かった部分もあると思っているようだ。その上で、それでも「おかしい」と感じる部分もあるのだ、と。
 更に、予約を入れてもらった病院で診てもらうときの資料にもなるし、上司に経過報告するときの証拠にもなる、それに自分自身の心の整理の一環としても、今までその同僚の女性に言われた言葉を一言一句出来るだけ詳細に記録しておけ、と言っておいた。そうすれば、見えてくるものもあるし、相手の真意も測れるのかも知れない。悪意だけではない何かを探して。
 それから、やはり、問題点を書き出して、自分なりの解決策を模索する。それはどうしても必要であろう。後は、診察してくれた先生が何かアドバイスをくれるのではないかと期待する。
 いずれ、日本人は生き急ぎ過ぎるような気がする。もっと人生をゆっくり歩いて良いと思う。特に、弱っているときは。
 実際、双極性障害とかパニック障害と精神疾患の病名がくだされるほど酷い状態では、まだ、ない、…と思う。しかし、病名がついてしまったら、遅いのだ。境界線を跨ぐ前なら、何事もなかったところまで容易に引き返せる。それに、実は、今回が初めてではないんだよな。
 器用貧乏ってのも、もしかして、病名の一種ではないだろうか。〕

 柚矢はその当時、ほんとうによく頑張ったと思っている。ほんとうに、よく頑張った。必死に耐えて仕事をこなしていた。尊敬に値するほどだ。
 しかし、記録の通り、年度末に遂に心を病んで心療内科にかかった。それを重くみて、人事課で課を異動させてくれたのだが。
 まずは、その1年間の苦しい時間の重さとつらさだ。未だに柚矢は、自分の方が悪かったんじゃないかと思うことがあるそうだ。あの状況を誰も助けてくれなかったことで、それは自分が悪かったからではないかと。それが、まず第一の職場への不信感となって刻まれる。
 その後、異動してからも、まだ2年目の新人扱いなので、新人研修があって、その講師がそのイジメていた張本人だったこと。その研修を手配する人事課には、イジメられてつらいことを相談したこともあったのに、シレっとその人を講師として研修の通知が届いたことにまずショックを受けたという。そして、あれだけ新人いびりをするような人だと訴えたのにも関わらず、その人の方が信用あるのか、という悔しさ。では、自分が訴えたことはまったくなかったことにされたのか、という虚脱感。それが第2の強烈な不信感となって更に深く刻まれた。
 そうして、柚矢はどんどんその傷に侵食されていった。苦しいことはなかったことにして蓋をするから、その傷は表面的には治ったように見えていたのだろう。
 とりあえず、傷の在処が分かった。ものすごく納得した。だって、今の部署の同僚は皆良い人で、仕事だって小さな疑問を抱くことは多々あっても、そんなにつらいものではない筈なのだ。
 では、その傷に対してどうしようか? と話し合った。
 まず、紙に書いてみよう。その相手のフルネームと、そのとき辛かったことと、今、つらいことを。そして、その紙を燃やしてみよう。火は浄化物質だから、きっと浄化してくれる。飽きるまで、繰り返し何度も書いては燃やしてみよう。
 それで様子を見て、また次を考えよう。

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