FC2ブログ

ザ!霊障

ザ!霊障 第一部 10

 ←ザ!霊障 第一部 9 →ザ!霊障 第一部 11
2月14日と3月2日に朱鷺の友人にカウンセリングをしてもらった。

3月23日 ドライヤーのコード、首吊るのに使えるんじゃないだろうか。割と力入れても大丈夫じゃん。柚矢の日記による記録より。

4月2日
 臨床心理士とかカウンセラーなど、心の問題を扱う仕事には基本的に興味がない。というより、朱鷺はそういう闇を背負うには相手にシンクロし過ぎることが分かっているから、関わりたくない。だから、鍼灸でうつ病に効く治療もあるんだけど、あんまり扱いたくない。そっちのプロではないので。
 しかし、もしかして朱鷺はカウンセリングのようなことが出来るかも知れないと思った。
 朱鷺が柚矢のカウンセリングをお願いしているカウンセラーさんは、柚矢の評価に寄れば、カウンセリングより、彼がやりたいと言ってるセミナーの講師の方が合ってるんじゃないかと。相手の話を傾聴するより、自らがしゃべりたくてたまらないらしい。
 そして、彼がセミナーのターゲットにしているのがビジネスマン。朱鷺のように、子ども達や、女性ではない。
 いや、それは別にそれで良いんだが、対象が違うから、朱鷺は彼とは違う層に対して聞き取りとカウンセリングをしてみたいな、とちょっと思った。
 というのも。
 つい先日、カウンセリングをしてもらった筈なのに、柚矢がまた自傷を繰り返していて、塞ぎこんで、泣いているので。
「どうせ、生き方が間違ってるって言うんでしょ」と言われ、ため息。
 確かにそれに近いことは言ったことがある。
 考え方の根本を見直した方が良いんじゃないかと。それは、まぁ、喘息やアレルギー反応や肩凝りの症状に対してだったが。砂糖と小麦粉をやめるだけで劇的に症状が改善する例があったということを、本人が言ってたしな。そして、心と身体は同根だとも思う。
 だけど、ここに来て、朱鷺はすべては「戦後」の仕業だと考えるようになった。日本が国家の品格を失ったときから、日本人の心のみが肥大化し、精神性が失われ、神は消えていった。
 ほんとうに理解している現場を知る専門家ではない人々が政治を動かしているから、こんな日本になってしまったんだろう。
 ここまで来ると、もう朱鷺の手には負えない事態ではあるが。
 道がまったく閉ざされている訳ではないと思いたい。
 船井さんも、今後の日本に期待を寄せていた。それを傍観者でいた朱鷺も、今年は少しでも動いてみようと思った。そして、柚矢も言っていたのだ。
 仕事場で、心を病んで何度か病休を繰り返していた人がいた。今年55歳。以前、同じ部署だった人だ。その人が亡くなったらしい。
 少し前に、鍼灸はうつにも効くから、いつか声を掛けてみようか、と話していたこともあったのに、だ。
「僕も僕だったら少しは話せたかもしれないと、驕りじゃなくて単純な事実として苦痛が少しは分かるだろうからそう思ってしょんぼりだけど。
 僕は今どうしようもない人間だろうけど、生き延びたら今度はそういうことができるようになると思うんだ…」

 柚矢が「ただつらい」というその内容を、言葉に出来るのかと聞いてみた。大抵今まではただ泣いているだけか押し黙っているだけで、諦めていたから聞くことすらしなかったのだけど。
 それを具体的に三つ聞き出した。
 そして、朱鷺は言った。職場に関係することに対して。
「それは、君の修行でもあると同時に、周囲の人にとっても学びの場なんだから、君は堂々としていれば良い。今や日本だけでなく、世界のすでに3分の1から半分にまでふくれ上がっている病んだ人をどうやって救済し、すでに病んだ部分が個性としてしか機能していない現実に、そういう人々を包括して社会として共存していく模索をするために。教育改革を急がないと。それには、どれだけ多くの人々が病み(闇)に苦しんでいるのか、行政も知る必要がある」
 という主旨のこと。それから、やりたいことに対して。
「芸術を生み出すのってほんとうにエネルギーが要る。だから、今はインプットと同時に充電していくしかない。本を読むだけでなく、身体の五感を使って料理するとか旅行するとか」
 これは朱鷺も共有事項であったので。
 吐き出したら、そして、一応こうすればどうか、という具体的な言葉を得たからか、その後、柚矢は大分明るくなった。
 まぁ、これは、傍にいていつも見ている相手だから出来たことかも知れないが、朱鷺は相手の空気しか見ない生き物だから(つまり、顔を覚えられない。髪型も服装も、眼鏡を掛けていたかどうかすら常に覚えていない。モンタージュなんて死んでも無理! 朱鷺は目撃証言というものは無理ですから)、もしかして、その空気の中に潜む闇も‘ひかり’も感じることが出来るかも知れないと思った。
 それは、カウンセリングという仕事にしなくても、ハナシを聞くということのついででも良いかな、と。
 友人であるそのカウンセラーさんも、床屋さんやタクシーの運転手さんに同じようなことをしているらしいし。

関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 六趣輪廻
もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 夜船閑話
もくじ  3kaku_s_L.png 刹那
もくじ  3kaku_s_L.png 蓮華国
もくじ  3kaku_s_L.png タナトスの翼
もくじ  3kaku_s_L.png さくら
もくじ  3kaku_s_L.png 聖火
もくじ  3kaku_s_L.png アニマ
もくじ  3kaku_s_L.png 聖~セイント~
もくじ  3kaku_s_L.png 狭間
もくじ  3kaku_s_L.png 完全数
もくじ  3kaku_s_L.png 天女のように
もくじ  3kaku_s_L.png 藍色哀歌
もくじ  3kaku_s_L.png こくはく
もくじ  3kaku_s_L.png 曼荼羅
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png ザ!霊障
  • 【ザ!霊障 第一部 9】へ
  • 【ザ!霊障 第一部 11】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【ザ!霊障 第一部 9】へ
  • 【ザ!霊障 第一部 11】へ