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ザ!霊障

ザ!霊障 第一部 5

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 10月15日~22日(土)水曜日の午前中のみ出勤。もう、この辺りからマトモに出勤すら出来なくなっていた。

 21日(金)保健師さんと面談。ここで、別の心療内科を紹介され、診断書をもらいに行った。

 22日(土)自分が3人に分かれてそれぞれの半分しかこっちにいない感じ。柚矢の日記より。

 心療内科で診断書をもらい、11月より、柚矢も病休に入った。同じ頃、同級生の友人もうつ状態に苦しんでいた。

11月8日
 柚(ゆう)矢(や)の家主さんとなる親戚のおばさんは、幼い頃からほんとうに苦労をしてきた方だ。
 戦後、満州国から帰国し、まだ幼い頃から過酷な農作業を強いられ、背中に重いものを担いで仕事をしたせいで、肩甲骨内側の筋肉が壊死した。その膿を出すための外科手術も麻酔なしだったという。
 そして、公務員として働きながら結婚し、二人の子を授かったが、成人後、男の子をある日突然、原因不明の病で亡くし、数年前には夫も交通事故で亡くした。娘は嫁がせているので今は一人暮らしだ。
 彼女には実家を継いだ弟がいた。しかし弟さんも結婚後に精神を病み、更に奥さんとなった女性も精神疾患を患っていたそうで、夫婦揃って別々の精神病院に入院。お陰で彼女はほんとうに大変な思いをして二人を支えてきた。弟夫婦の面倒をみながら仕事もし、子育てもしてきたのだ。
 弟の奥さんについては、彼女の親族に世話を託すことになったそうだが、ようやく退院して家に戻っていた弟さんを、28年春に亡くした。
 これだけを聞くと、すごい人生で、よく頑張りましたね、という感じだ。ご本人はしかし、とても朗らかで元気で、未だに自転車であちこち歩く快活な方だ。畑作業もこなすほど足腰も丈夫だ。
 良い人だし、年老いた感じを受けなくて、朱鷺(しゅろ)としてはホッとする親戚でもある。
 しかし―ヒトの闇は外から分からないものだ。ある意味当然のことだが、息子を亡くした彼女はいつまでもそれを引きずり、苦しみ続けていたのだと後に知った。
 そして、人間は苦労したからといって、他人の心が理解出来るようになる訳ではないんだな、ということを強く感じた。カウンセラーが、人生の辛酸を舐めつくして、あらゆる悲しみや苦しみを経験したからなれる職業という訳じゃない、医者があらゆる病気を経て患者の心に寄り添えるようになった訳じゃない、ということと同じだ。
 想像力というとちょっと違う気もするが、他人の心、他人の気持ちを尊重出来て、その悲しみ・苦しみに寄り添い、或いは見守り、支えられる人間というのは、同じ苦しみを知らなくたって、そういう役割として初めから備わっている能力のようなものなんだろう。だから逆に、辛い思いをした人が、必ずしも苦しんでいる人に偏見を持つことなく支えることが出来るようになるということではない。むしろ、かつて経験した辛い思いがトラウマのようになり、二度と関わりたくないと考えてしまっても、それは仕方がないことなのだろう。
 適材適所というのが合ってるかどうか微妙だが、職業とは、やはりすべき人がその立場に立つべきだよな、と思う。ちょっと話がズレるが、その役割に適さないニンゲンがその仕事をするのは、周囲に迷惑だ。特にトップに立つ器でない人間がヒトの上に立つのはやめて欲しい。
 それから、サラリーマン気分のニンゲン、実はヒトを好きではないニンゲンが、医療や教育に携わるのは止めて欲しい。
 カウンセラーや臨床心理士のような方々を、朱鷺はほんとうに尊敬している。朱鷺には出来ないことだから。
 ただ、朱鷺はほんの僅かだが、ヒトの心の悲しみや苦しみ、辛い思いや痛みを感じることが出来る気がしている。
 朱鷺の場合、想像力があるから理解出来るのではなく、なんとなく、本気でその悲しみに同調―シンクロしてしまっている気がする。その場にいながら、言葉で伝えられるその苦しみや痛みをまさに身体で感じてしまうのだ。だから、特技が「もらい泣き」とよくのたまっているが、もらわなくたって痛みを勝手に感じる。何を言ってるのかというと、話している本人が泣いていなくても、そのハナシの中の本人が感じた同じ痛みをそこで感じ取って、吸い取ってしまうのだ。
 だから一昨年の学会のとき、立ち話で震災の経験をお話しいただいた際、話した本人は笑っていたのに聞いた朱鷺だけが泣いているという現象が起こった。「泣かせてしまってごめんなさい」と相手が呆れていたことを恥ずかしく思い出す。
 物語を読むときも、登場人物の心の動きや作者の意図などが割りとスッと入り込んでくる。その物語を身体で感じる。朱鷺にとっては、物語も他人の人生も同じ。どこにでも入り込めて、そこに一旦生きることが出来る。そして、その世界の悲しみの美しさだけを写し取ってくる。苦しみの旋律だけを聴いてくる。
 
 寄り添い、抱えることの重さは分かっている。でも、それをせずにいられない。そして、その甘く艶やかで、狂気を奏でる激しくも静謐な旋律は、朱鷺の命の奥底に響いてくる。何かを抱えずに、ヒトは生きられない。必要とされていることをどこかで感じ続けたいのかも知れない。
 そして、その重さは共有することでもっと重くなる。ほんとうは、時雨のように、気にせず自分がしっかり生きてみせてくれれば良いだけなのだ。必要なときにはこちらから依頼するから。圧し掛かる質問と説明のための空虚な言葉の嵐が、朱鷺をどんどん疲弊させる。
「大丈夫なのか?」「心配じゃないの?」「頼むよ」「どうなんだ?」「病院には行ってるのか?」「一人にして不安だ」
 その無遠慮で上辺だけを行き交う言葉の応酬に、朱鷺がどれだけ疲労困憊するのかを分かって欲しい。
 心配は分かる。でも、心配は勝手にしてくれれば良い。朱鷺に負担を掛けるのはやめてください。心配していると伝えれば、本人は楽になるだろう。それにすべて対応する朱鷺の過酷さを理解して欲しい。
 柚矢が不安定なのは中学生だった頃からだ。ずっとずっと朱鷺は一人で柚矢を見てきて、「生きていてくれれば良いや」とすべてを受け入れてきた。今だってほんとうはどうすれば良かったのかまったく分からない。何が正解で、何が間違っていたのか。
信じたことを貫いていくしかないけど、いつでも揺らいでいるのだ。
 朱鷺も、ここに在り続けているだけで、ほんとうはもう精一杯だった。在り続けるために、形だけでもここに在るために。そんな風に考えるのはきっと、まだ消えてしまうわけにはいかないと思っているからなんだろう。あと少し、朱鷺の手が必要だと。
 生き物は、誰かに何かに愛情を注がないと愛が枯渇してしまう。愛とは与えれば与えるほど湧き出てくるものであり、対象がないと「愛」は別のものに変貌してしまい、空(くう)を彷徨った挙句「闇」となって自らに返ってくる。だから、愛情を注ぐ相手が絶対に必要なのだ。愛する対象として猫を必要とし、生きる意味として仕事を必要とし、最低限の衣食住を必要とする。前提があまりに苦しいから、それに朱鷺自身すら触れたくない。
 ここのところ、吐き気が止まらない。(食いすぎじゃないか? って噂もあるが)
 胃痛が常在し、薄い疲労がいつでもお腹の底に留まっている。(コーヒーの飲みすぎじゃね?)
 闇(病み)を抱えること、抱え続けて生きるしかないとき、それはもう共存するしかないことを受け入れるより他はない。完治することのない闇。光の下で生きることを諦めて、薄闇の中でほのかな明かりを頼りに、それを美しいと思えれば、その柔らかい光だけでモノゴトを判断していくことが出来るだろう。
 それでも良いと、朱鷺は覚悟を決めた。
 ほんとうに支えられているのは、生かされているのが、朱鷺のほうなんだと。

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