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藍色哀歌

藍色哀歌 第三部 飛翔1

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 藍子の卒業を待つ筈だった入籍をその年の内に済ませ、父は藤堂を伴って再びヨーロッパへ旅立った。もう秋も深まり、時折涼しい風が吹き抜ける季節となっていた。

 その週末、藍子が蒼次郎の部屋を訪ねた。

「蒼次郎さん、よろしいですか?」

 書類を手に窓辺に佇んでいた蒼次郎は、どうぞ、と顔をあげて振り返った。

「あの―実は…」どこか怯えたような表情で、藍子はおずおずと封筒を差し出した。
「おや、調査報告書ですね」

 蒼次郎は特に気にした風もなく、藍子の手の中の封筒に視線を落とした。

「藤堂が最後のイヤがらせに、藍子さんに渡して行ったんですか?」

 藍子は困ったような笑みを浮かべた。彼女に椅子を勧めて、蒼次郎はベッドに腰を下ろす。

「ご覧になりました?」
「いえ、―あの…拝見してもよろしいですか?」

 くく、と蒼次郎は喉を鳴らして笑う。

「俺に許可を得る必要はありませんよ、それは狭霧が調べて、藤堂が藍子さんにお渡ししたものでしょう」
「ですけど…」
「そうですね、読んでいただけますか?」

 蒼次郎は言った。
 藍子は封筒から数枚の書類を出してそれをじっと見つめる。

 成島蒼次郎に関する調査報告書。それにはそう書かれてあった。そして、最初のぺージは大学の友人や彼の母親の周辺で聞き歩いた蒼次郎の人物像について綴られており、どこで調べたのか身長・体重などの項目もあった。写真は手に入らなかったらしい。

「蒼次郎さんのお写真は…見つからなかったんでしょうか」
「それは―」蒼次郎は僅かに目を細めた。「彼も、あなたの写真を見たことはありません。藍子さん、あなただけが彼の写真を勝手にご覧になるのはフェアではありませんよ」

 藍子は、はっと蒼次郎を見つめて小さく頷いた。

 そして次には、成島蒼次郎を名乗る人物について、となっている。
 本名・年齢・出身地いずれも不明。
 都市伝説の噂のある『花籠』という犯罪者組織で仕事を請け負っている。そこでは窃盗や殺人などの凶悪犯罪も日常的に行われている。未確認ではあるが、この男性は「鬼灯」の通り名を持つスリ集団の一味である可能性が高い。
 そして、かつて関わった事件として、いくつかの新聞記事が載っていた。

 それを聞いて蒼次郎は笑いだした。

 ショックを受け、多少は嫌悪の表情を浮かべているかと思ったが、藍子は特に表情を変えずに、笑い転げる蒼次郎を黙って見つめていた。

「蒼次郎さんは、大学ではたくさんご友人がいらしたんですね」
「ええ、そうだと思います。彼は本当に良い青年のようですから」

 一頻り笑って、蒼次郎は言った。

「俺の情報はその程度でしたか。ちょっと拍子抜けですね」

 蒼次郎は手にしていた書類に視線を落とし、折りたたみながら続けた。

「まず、『花籠』は犯罪者組織ではありません。あそこは、まぁ―いわば人材派遣会社のようなもの。各分野のスペシャリストがメンバーとして登録されている。その情報に寄って仕事を振り分けられているだけの変わった組織です。俺…私は、仕事を請け負ったことも確かにあったけど、組織としてそこに属したことはない。それから、スリ集団なんて存在しませんよ。確かに私にも友人、仲間はおりますけどね」

 藍子は微笑んで彼の話を聞いているだけで特に何も質問はしなかった。

「藍子さん」蒼次郎は書類を胸ポケットに納めて、目を細めて彼女を見つめた。
「俺を怖いと思わないんですか?」
「怖いです」藍子は微笑んだまま答えた。

 え、と初めて蒼次郎は表情を動かした。「それなら、何故―」

「蒼次郎さん、私はあなたが怖いです。あなたの口から蒼次郎さんのことを聞くのが…。それに、あなたがどうして蒼次郎さんを名乗ってくれているのかを聞くのが。それから―」
「藍子さん」

 蒼次郎は息を吐いた。

「初めからすべてお話しします。そして、蒼次郎に…あなたを16年間守り続けてきた蒼次郎に会わせてあげましょう」



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