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完全数

完全数 4 エピジェネティクス

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 部屋はすんなり決まった。あの大家は、約束を守ってくれたようだ。不動産屋を通さずに直接契約を結ぶことになったので、大分安くしてくれたようだ。保証人が必要で親に書類を見せると、母親は「あら、本気だったの?」と驚いた表情を浮かべる。

「冗談だと思ってたのか?」
「そういう訳じゃないけどさ」
「父さんには―」
「言ったけど、酔っ払ってたからなぁ」
「なんで、そういうときに話すのさ!」
「だって、忘れてたんだもん。今夜、帰ってきたら言ってみるよ」
「もう良いよ、俺が自分で言う!」
「うわ、ヒステリー」

 夕食の支度をしていた母は菜箸を持ったまま肩をすくめてみせた。母は趣味の延長のような感じで喫茶店を経営し、そこの厨房で料理教室を開いたり、栄養士や料理研究家を招いて講習会を開いたりと好き勝手なことをしている。父親は農業法人の役員だ。実際の農作業も行うが、専ら売り先の開拓や新規の野菜の栽培法を研究したりと、営業的な仕事が多く出張も多い。

「ねぇ、本当に彼女とか…」
「いないって!」

 ふと、粟生と名乗った女の顔が浮かんだ。そういえば、けっこう綺麗な顔をしていたな、と思う。

「今、誰かのことを考えたでしょう」

 俺の顔をじっと見つめていた母が、勝ち誇ったように笑う。

「It’s non of your business.」

 俺は、静かにそう言い捨てて部屋へ向かった。



 ごく普通のサラリーマン、つまりスーツを着て出掛けて行く会社員ではない両親を見て育ってきたせいもあって、そして、彼らが実に生き生きと日常を楽しんでいる幸福を見ている俺は。
更に、通学途中に電車やバスで乗り合わせる疲れ切って、精彩のない顔のサラリーマンの姿を無意識に対比してしまって将来は収入の安定とか高額所得者を目指すのではなく、手に職を持って、やりたい仕事をしたいと考えるようになっていた。

 両親とも、別に跡継ぎを必要としていなくて、母に至っては「親の仕事を継ごうなんて甘い考えは捨てて、自分の道は自分で探してね」と満面の笑みで言い渡された。

「どんな世界でもさ、ジュニアって嫌いなのよ」と母は言う。
「政治家なんてバカなジュニアがどんどん生まれて、庶民の生活感覚を知らない上流階級の人間ばっかりが政治を執り行うから一般社会には何も反映されない政策になってるじゃない?」

 父も似たようなことを言う。

「専門職ってのは、今は一子相伝とは違うからね、その仕事を本当に好きで、どうしてもやりたいって若者がそこに新たな息吹を吹き込むことがあるんだよな。生まれたときからその世界にいた人間より、一般の感覚を持ったごく普通の人の素朴な疑問から売れる商品が生まれたりするしね」

 確かにその通りだろうと思う。しかし、この親は、―子どもに後を継がせたいという全うな親心が本当に欠落しているらしい。否応なく跡継ぎと期待されると反抗もしたくなるものかも知れないが、ここまでばっさりと切り捨てられるのもどうかと思うぞ?

 ということで。俺の選択肢は限りなく存在している。あまりに無限なので、絞ることが出来ない。つまり、実はまだあんまり具体的なことは考えていないのだ。人間、何か仕事をしていればどうにかなるだろうとも思う。

 ただ、なんとなく描くのは。

 ひとつの仕事に人生を捧げるのではなく、そこの頂を目指すのではなく、多くのことに関わって、とにかく世界を知りたい、ということだ。

 俺は、飽きやすい性格だ。ひとつのことで満足する筈などないのだ。


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