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完全数

完全数 1 エピジェネティクス

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「完全数って知ってる?」

 とその女が聞いてきた。高校1年の終わり、終業式の日だった。帰宅しようと校門を出るところで横から声がした。声の方に顔を向けると、確か…同じ学年の女子が学校の塀に寄りかかって俺を見つめている。長い黒髪を後ろで束ねた大人っぽい印象の子だ。瞳が、挑戦的に理知的な光を宿している。

「496のことか?」

 何の気なしにそう答えると、彼女は目を見開いて、そして、次の瞬間、複雑な笑顔を浮かべた。それ以上、そいつは話を続ける様子がなかったので、俺はそのまま歩き去った。そして、そんなことがあったことすら俺はすっかり忘れていた。



「俺、アパート借りようかと思ってるんだ」

 と、その日、朝食の席で母親に話したら、当然の如く「なんで?」と聞かれた。春休みの最中、図書館へ行こうと早起きした週半ばの水曜日。

「来年度、新校舎が建つからって、巨額の寄付をさせられたのを忘れた?」
「…そういえば、そんなこともあったね」
「そんなことって、去年のことだろ」

 俺はため息を吐く。それほど裕福でもない我が家が依頼された金額を工面するには相当大変だった筈なのに。

「父さんは?」
「今日は午後から出るからってまだ寝てる。夕べ、遅かったしね」
「…じゃ、母さんから話しといて」
「何を?」たった今話したことを本気で忘れたようで、箸を持ったまま、母親はきょとんと俺を見る。
「だから、部屋を借りたいんだって」
「なんで?」
「だから」怒鳴りたいのを我慢して、俺は声を押し殺す。「学校が移転して、隣町に移るから、家から遠くなるんだよ」
「そういえば、そんなこと、言ってたねぇ」
「そうなんだよ」

 俺は食べ終わって、箸を置いて席を立つ。

「部屋代はアルバイトして稼ぐから家には迷惑掛けないよ」
「それは、助かるけど」母は俺の顔を覗き込む。
「理由は本当にそれ?」
「…何が」
「彼女が出来たとか?」
「違うよ」
「じゃ、好きな子が…」
「いねぇよ! っていうか、なんでそんな理由で家を出ることになるのさ!」
「普通、家を出る理由ってそうじゃない」
「通うのに1時間半もかかるのは時間の無駄だからだって」
「色気ないわねぇ。早く彼女とか紹介して欲しいのに…」本気で言ってるから性質が悪い。母は昔から、娘が欲しかったのに、と俺を見てため息をつきやがるのだ。

「高校生は勉強が本分じゃないのか!」
「そんなこと言ってるから、モテないんじゃないの?」
「やかましいっ」

 モテたくない訳では、決してない。ない、のだが。
 あまり興味がないのは事実だった。

 頭の悪い女と話すとゲンナリしてしまう。まず、話題が合わない。そして、人の悪口が俺は嫌いだ。もっと、こう…高尚な、とは言わんが、将来の展望とか、政治や経済の話とか、いや、打ち込める趣味の話題だって良い。そういう前向きな話題になら俺だって多少は乗れる。

 多少くだらなくとも、男同士でプロ野球やサッカーなどスポーツの話題や、歴史の真偽について話している方がまだマシだ。

 そこで、ふと何かを思い出しそうになった。

‘完全数って知ってる?’

 そういえば、そんなことを聞いてきた女がいた…ような気がするなぁ。誰だったっけ?
 名前を思い出せない、と眉間に皺を寄せてしばらく考え、「思い出せないんじゃないわ。知らんのだ」と気付いた。


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