FC2ブログ

スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←【物語(ロマン)を幻想という現実に…】 →完全数 (作品説明)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 六趣輪廻
もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 夜船閑話
もくじ  3kaku_s_L.png 刹那
もくじ  3kaku_s_L.png 蓮華国
もくじ  3kaku_s_L.png タナトスの翼
もくじ  3kaku_s_L.png さくら
もくじ  3kaku_s_L.png 聖火
もくじ  3kaku_s_L.png アニマ
もくじ  3kaku_s_L.png 聖~セイント~
もくじ  3kaku_s_L.png 狭間
もくじ  3kaku_s_L.png 完全数
もくじ  3kaku_s_L.png 天女のように
もくじ  3kaku_s_L.png 藍色哀歌
もくじ  3kaku_s_L.png こくはく
もくじ  3kaku_s_L.png 曼荼羅
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png ザ!霊障
  • 【【物語(ロマン)を幻想という現実に…】】へ
  • 【完全数 (作品説明)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

聖~セイント~

聖~セイント~ 37 相反する想い

 ←【物語(ロマン)を幻想という現実に…】 →完全数 (作品説明)
 翌朝目覚めた俺は、ぐったりと疲れ切っていた。

 廊下へ出てみると、すでに茉莉の部屋には人の気配はなく、彼女はもう仕事に出掛けたのだと知った。いつものように、キッチンのテーブルには食事が用意されているのだろうと俺はぼんやり思う。

 家族を失うとは、どれほどの悲しみで、恋人を失うとは、どんな絶望だろう、と俺は想像してみる。しかし、家族も恋人もいない俺はまったく実感が湧かない。大切な存在がないということは寂しいものだけど、失う苦しみを味わう可能性が減ることなんだな等と思ってみる。

 そして、そうやって逃げている自分にため息を吐く。自らの歴史の喪失よりも、記憶の中の痛みの方が大きいとき、見せかけでも安定した今の日常を手放す勇気をなかなか持てないものなんだろうか。

 そんな俺に、きっと茉莉は苛立つこともあるのだろう。俺の「記憶」は、俺自身よりも、茉莉にとって必要なものなのだ。真実を知るために。そして、きっと前に進むために。

 そこまで分かっているのに、俺はまだ躊躇っている。のろのろと着替えを始めながら、窓から見える空を見る。どんよりと雲が低い灰色の重い空だ。不意に、彼女の言葉が過ぎる。

‘教えてあげましょうか’僅かに目を細めた淡い笑顔で。
‘あなたが、私に逆らえない理由を’

 もしかして―、と考える。もしかして、彼女は知っていたのだろうか? 恋人の失踪に俺が関わっていることを。

‘あなたが、殺したんでしょう?’

 ぎくり、とした。
 そうだ、彼女は確かそう言ったのだ。

 ざわざわと寒気が立ち上ってくる。そうとは意識していなかったのに、俺は足元が崩れるような錯覚を得て、その場にへたり込みそうになった。

 俺は、―茉莉が怖いのだ。

 恋しい。欲しいと思うのと同時に、いや、それ以上に、俺は彼女を恐れている。それを認めたくないが故に、見ない振りをしていたのかも知れない。

 俺ならどうするだろう、と。考えたくないのに、思考は勝手に巡る。もしも、恋人を殺されたら? 事故であれ、不本意であれ、手をくだした張本人が目の前にいたとしたら?


関連記事
スポンサーサイト


もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 六趣輪廻
もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 夜船閑話
もくじ  3kaku_s_L.png 刹那
もくじ  3kaku_s_L.png 蓮華国
もくじ  3kaku_s_L.png タナトスの翼
もくじ  3kaku_s_L.png さくら
もくじ  3kaku_s_L.png 聖火
もくじ  3kaku_s_L.png アニマ
もくじ  3kaku_s_L.png 聖~セイント~
もくじ  3kaku_s_L.png 狭間
もくじ  3kaku_s_L.png 完全数
もくじ  3kaku_s_L.png 天女のように
もくじ  3kaku_s_L.png 藍色哀歌
もくじ  3kaku_s_L.png こくはく
もくじ  3kaku_s_L.png 曼荼羅
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png ザ!霊障
  • 【【物語(ロマン)を幻想という現実に…】】へ
  • 【完全数 (作品説明)】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【【物語(ロマン)を幻想という現実に…】】へ
  • 【完全数 (作品説明)】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。